『世界を変える偉大なNPOの条件』(レスリー・R・クラッチフィールド/ヘザー・マクラウド・グラント)
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■12の「偉大なNPO」に共通する六つの原則を発見
日本以外の先進国の多くではNPOは社会的に重要な位置を占めていることが多い。とくに米国には150万団体ものNPOが存在し、年間1兆ドルを超える価値を生み出している。本書は、成功し社会に大きな影響力をもつ「偉大なNPO」を偉大たらしめているものは何かを分析し、その組織特性や活動の特徴を明らかにしている。
著者らの研究グループは、米国発のNPOから12の「偉大なNPO」を抽出。それらに共通する「六つの原則」(〈1〉政策アドボカシー(提言)とサービスを提供する、〈2〉市場の力を利用する、〈3〉熱烈な支持者を育てる、〈4〉NPOのネットワークを育てる、〈5〉環境に適応する技術を身につける、〈6〉権限を分担する)を発見する。「偉大なNPO」の多くは、この6原則による「てこの力(レバレッジ)」によって、その規模や組織体制から考えられるよりも、はるかに大きな社会的影響力を発揮しているのだ。 -
■民間企業や他のNPOと提携・協力し互恵関係に
六つの原則のうち〈1〉は、政府の資源をうまく利用したり、法律を変えることによって、自らのビジョンや目標を実現しやすくすること。〈2〉は、民間企業等と提携することによって互恵関係を築いていることを意味する。〈3〉については、ボランティアを大義のために働く「エバンジェリスト(熱烈な使命の伝道者)」として考えていること、〈4〉はNPO同士のネットワークを築き、互いの金や専門技術、才能などを共有しているということだ。さらに〈5〉の原則は、組織を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、その変化から学んで自分たちのやり方を上手に軌道修正する力を持っていることを表わしている。〈6〉は、リーダーが自己中心的な存在にならずに、強力なサブリーダーや永続的な経営チームなどとともに活発に機能する理事会を開発していることなどを指す。これら六つの原則は互いに作用し合い、組織に大きな推進力を生み出しているのである。
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◎著者プロフィール
レスリー・R・クラッチフィールド:
アショカ財団マネージング・ディレクター。フィランソロピー団体のアドバイザーを務め、著名な財団やNPOの相談を受けている。
ヘザー・マクラウド・グラント:
スタンフォード大学社会革新センター顧問。元マッキンゼー・コンサルタント。現在は、戦略や組織開発の分野で、優れたNPOやフィランソロピー団体からの相談を受けている。