『ビッグデータの衝撃』 (城田 真琴 著)

『ビッグデータの衝撃』 -巨大なデータが戦略を決める

『ビッグデータの衝撃』 (城田 真琴 著) 

著者:城田 真琴
出版社:東洋経済新報社
発行:2012/07
定価:1,890円


【目次】
 1.ビッグデータとは何か
 2.ビッグデータを支える技術
 3.ビッグデータを武器にする企業[欧米企業編]
 4.ビッグデータを武器にする企業[国内企業編]
 5.ビッグデータの活用パターン
 6.ビッグデータ時代のプライバシー
 7.オープンデータ時代の幕開けとデータマーケットプレイスの勃興
 8.ビッグデータ時代への備え

  • ■可能性を秘めたIT活用の新技術を網羅的に論じる

     「クラウド」「ソーシャル」に続くIT関連のトレンドキーワードとして注目を集める「ビッグデータ」。「既存の一般的な技術では管理するのが困難な大量のデータ群」と定義され、それを有効に分析して、新しい顧客サービス等のイノベーションにつなげることが、IT業界のみならずさまざまな企業の競争優位につながるものとして期待されている。
     グーグルの検索窓に単語を途中まで入力したときに「クラウド 無料」といった追加検索語の候補が表示される。あるいは、アマゾンの商品ページにおける「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンデーションシステムなどが、ビッグデータの代表的な活用例だ。膨大なユーザーの検索履歴や購買履歴、閲覧履歴を組み合わせて分析することによって、利便性の高いサービスが実現されている。本書は、そのビッグデータに関する技術面、プライバシー管理、企業の戦略策定等について網羅的に論じている。

  • ■ビッグデータは「点」を「線」にする

     ビッグデータの分析は、「点」の情報をつなげて「線」にするものだ。たとえば、単に「モノが売れた」「顧客の1人が契約を解除した」という事実ベースの個別の情報を集計して終わるのではなく、複数の顧客の相互作用、交流、比較から「なぜそれが売れたのか」「どうして顧客は離れたのか」というコンテキスト(背景)を探る。
     ビッグデータ活用を考える際には、こうした「線」を意識し、データ同士を「どのようにつなげていくか」という視点が重要になる。まずどのようなサービスを目指すかという目的を明確にしたうえで、そのためには「どのようなデータが必要か」「自社のデータで十分か」「外部からデータを取り込むかどうか」といったことを論理的に考えていく。その際に他社との提携、オープンなクラウドデータの活用などの可能性も考慮に入れることで、ビッグデータを効率的にビジネスに結びつけていくことができるのだ。

  • ◎著者プロフィール

     野村総合研究所イノベーション開発部上級研究員。北海道大学工学部卒業後、大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て2001年から現職。現在はITアナリストとして、クラウド、ビジネス・アナリティクス、M2Mなどを専門領域とし、ITの将来予測とベンダー、ユーザー双方に対する提言を行っている。ベストセラー『クラウドの衝撃』(東洋経済新報社)の著者であり、テレビ出演、講演、各種メディアの寄稿も多数ある。