『ライク・ア・ヴァージン』 (リチャード・ブランソン 著)

『ライク・ア・ヴァージン』  ‐ビジネススクールでは教えてくれない成功哲学

『ライク・ア・ヴァージン』 (リチャード・ブランソン 著) 

著 者:リチャード・ブランソン
出版社:日経BP社
発 行: 2013/06
定 価: 1,890円


【目次】
 1.リスクという名のチャンス
 2.CEOだって間違えることがある
 3.パワー・トゥ・ザ・ピープル

  • ■人材は事業そのものだ!

     レコード会社、航空会社を手始めに事業多角化を進めるヴァージン・グループ会長が語る「革新経営論」。どうすれば、ヴァージンのような革新的な経営ができるのか? 新しい事業の立ち上げ方から古い事業をやめる方法、人材を一番に考えた経営方法など、ユニークなエピソードを交えながら、ヴァージン流の革新経営を紹介している。中でも、著者は会社の成否を握るのは人材であると言い切る。航空会社でいえば、各社間の違いを生み出すのはヒト(乗務員)であり、彼らの乗客に対する態度である。ヴァージン航空の乗務員は笑顔で元気よく、お客様の役に立ちたいと思っているからこそ、乗客は「またヴァージンを使いたい」と思うのだ。従業員を重視することで従業員が幸せでいれば、顧客も幸せになる可能性が高く、企業の売り上げも伸びる。5万人の従業員を管理すべきコストとしか見ない企業もあるかもしれないが、著者にとっては、ヴァージンの5万人は情熱的な"ブランド大使"にほかならないのだ。

  • ■"本業"はヴァージンらしい体験の提供

     ヴァージンは新しい事業、産業分野、試練にひるむことなく立ち向かう姿勢から、リスクを厭わないという評価が定着したが、同時に失敗への備えも怠らない。航空事業に参入するときも、ボーイングとの契約に、事業がうまくいかない場合には飛行機を返還できる権利を盛り込んだ。他の事業も一緒に潰してはならないからだ。だから、事業がうまくいかないときには、躊躇せず、さっさと手を引くことができる。こうして、幅広い事業に多角化して成功を収めてきたヴァージンであるが、ビジネススクールでは「本業に特化せよ」と教えるのが常識である。ヴァージン・ブランドは、著者が"心から引かれること"に一つずつ手を出していく中で形成されてきたが、著者の原動力である「みんなに楽しい時間を過ごしてもらう方法を見つけたい」という思いそのものが"本業"といえる。ヴァージンの専門分野はヴァージン・エクスペリエンスであり、あらゆる分野で顧客の期待に添うような体験を提供し続けることなのだ。

  • ◎著者プロフィール

    ヴァージン・グループ会長。1950年イギリス生まれ。高校中退後、雑誌『ストゥーデント』を創刊。72年レコード会社のヴァージン・レコードを設立。84年ヴァージン・アトランティック航空を創業。その後、ヴァージン・ブランドを活用した事業多角化を進め、鉄道、金融、携帯電話、旅行、通信、宇宙旅行などの分野に進出。世界34ヵ国で事業を展開、従業員5万人、売上高約2兆円のヴァージン・グループを創りあげた。