『ルールを変える思考法』 (川上 量生 著)

『ルールを変える思考法』

『ルールを変える思考法』 (川上 量生 著) 

著 者:川上 量生
出版社:KADOKAWA
発 行:2013/10
定 価:1,470円


【目次】
 1.いちばんリアルなゲームは「現実世界」で見つかる
 2.ビジネスというゲームで大切なこと
 3.人を惹きつけるコンテンツのつくり方
 4.マネジメントで大切なことは、ゲームが教えてくれた
 5.[特別鼎談]ゲームがうまい人間は頭がいいのか
 6.ネットの発達は、人間をこう変えていく
 7.「できるかもしれない」と思うことからすべては始まる

  • ■ニコニコ動画の成功の源は「ルールを変える思考法」

     会員数3000万人を突破した「ニコニコ動画」はどのようにして生まれたのだろうか。また、動画共有分野で先行するYouTubeに勝つために著者が選んだ方法とは何か。ドワンゴを設立し、独自の発想で携帯ゲームや着メロをヒットさせ、さらに子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」のサービスを創始した著者は本書で、成功の源は“ルールを変える思考法”にあり、その思考法はボードゲーム、より正確に言えば「非電源型のウォーシミュレーションゲーム」から学んだと語る。
     そうしたゲームでは、プレイヤーが勝手にルールを変更し、ルールの一部が変わることによってゲームそのものが変わり、勝者が変わるという体験をすることがごく自然にあるという。ルールの変更によってゲームが変わるのは現実のビジネスでも同じで、既存のルールにただ従っていたのでは、新規に参入した者は絶対に勝てないシステムになっていることがある。しかし、そんな状況でも「ルールが変わるタイミング」「ルールを変えられる瞬間」をどこかで見つけられることがあり、それを逃さないことが重要なのだ。

  • ■YouTubeに勝つために選んだ「ゲリラ戦」

     ビジネスの場合も、ゲームと同じように、勝つためにはまず「ルールの検証」から始める。業界の慣習のようになっているものをはじめ、「変えたほうがいいルール」は意外に多いものだ。時代が移り変わって環境が変化すれば、既存のルールや決まりごとが最適解ではなくなっていることはよくあり、原理原則を見直した上で、ルールを再検証する姿勢が大切だ。
     「ニコニコ動画」では「長期的な競争でYouTubeに勝てるか?」ということを考えた。外資系の会社が日本でサービスを展開していく上での弱みは「日本市場におけるゲリラ戦」、そう考えて、自主パトロールで問題がある動画を削除していくなどの「ゲリラ戦略」でコンテンツホルダーとの良好な関係を築いていった。それがニコニコ動画の勝利につながったのである。

  • ◎著者プロフィール

    株式会社ドワンゴ代表取締役会長。株式会社角川アスキー総合研究所主席研究員。1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、コンピューターの知識を生かしてソフトウエアの専門商社に入社。同社倒産後、PC通信用の対戦ゲームのシステムを開発する会社としてドワンゴを設立。2000年、代表取締役会長に。2007年には、子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」を開始。その後も数々のイベントやサービスを生みだしている。