『話す力』 (草野 仁 著)

『話す力』

『話す力』 (草野 仁 著) 

著 者:草野 仁
出版社:小学館
発 行:2013/10
定 価:777円


【目次】
 1.話し方を変えれば、人生が変わる
 2.誰とでも話せるようになるヒント
 3.自分の思いを伝える話し方
 4.相手をその気にさせる伝え方
 5.相手の思いを引き出す「聞き方」

  • ■話し方、伝え方は必ずレベルアップする

     人は、言葉を使って自分の思いを他者に伝えようとするが、実際には思い通りに伝わっていないことが多いのではないか。国際化されたこの時代、自分の言いたいことを正確に相手に伝えるための「話す力」を高めることは重要だ。本書では、テレビキャスターとしておなじみの著者が、黒柳徹子さんなど著名人の「話し方」にまつわるエピソードを紹介しながら、挨拶、謝り方、雑談力、さらには人との接し方から部下のやる気を引き出す方法まで、「草野流の話し方」を公開している。
     著者は、そもそも人前で話すことが苦手だったが、アナウンサーとして配属されたことをきっかけに、独自に「話すこと」を突き詰める研究を始めた。毎晩、ラジオ中継を注意深く聞き、録音した自分の話を繰り返しチェック。すると、「話し方」は格段に違ってきたという。自分の意思を相手にわかりやすく伝えるという目的意識を持ち、いくつかのポイントに気を配れば、話し方、伝え方は必ずレベルアップするのだ。

  • ■会話で大事なのは相手との「あうん」の呼吸

     「雑談ができない」と悩む人は、黒柳徹子さんの驚異的な「雑談力」に学ぶといい。黒柳さんといえば、連想ゲームのように縦横無尽に話が進んでいくのだが、それはいろいろなものを吸収しようと常にアンテナを立て、積極的に人と関わりを持っているからだろう。生き生きとした話をするために大切なことは、外に出ていろいろな人と接し、自分の目と耳で情報をキャッチすることなのである。
     また、会話のなかで「沈黙」や「間」を嫌がる人が多いが、沈黙を必要以上に怖がることはない。大事なのは相手との「あうん」の呼吸だ。会話は相手とのキャッチボールである。キャッチボールで相手が受けやすいところにボールを投げ返すのと同じように、相手が考えているときには話を待ち、相手に話したい様子があれば、興味深く聞く姿勢を見せる。無理に話を盛り上げようとか、話を途切れさせないようにつなごうとは思わず、相手に呼吸を合わせていくことが、会話のうえでは非常に大事なことなのだ。

  • ◎著者プロフィール

    1944年満州国新京市(現・中国吉林省長春市)生まれ、長崎県育ち。東京大学卒業後、NHKに入社。スポーツキャスターとして、モントリオール五輪の実況中継やロサンゼルス五輪のスタジオ総合司会などで活躍。85年NHKを退社し、フリーのテレビキャスターとなる。出演中の番組に『世界ふしぎ発見!』(TBS)など。著書に『信頼は、つくれる』(ワニブックス)などがある。