『福島屋』 (福島 徹 著)

『福島屋』 ‐毎日通いたくなるスーパーの秘密

『福島屋』 (福島 徹 著) 

著 者:福島 徹
出版社:日本実業出版社
発 行:2014/01
定 価:1,500円(税別)


【目次】
 1.町のスーパー福島屋が強い理由
 2.失敗から学んだ「商売で大切なこと」
 3.「売り場づくり」はスーパーの要(かなめ)
 4.実践で学んだ「吟味」する力
 5.生産者さんとの連携で「共存共栄」
 6.「講座ビジネス」が小売り業の核になる
 7.これからの小売業の在り方

  • ■安売りやチラシを使わず「お客様目線」の店づくりで黒字経営を続ける

     東京都羽村市に本店がある「スーパー福島屋」は、食品スーパーを中心に10店舗を経営する小売チェーンだ。安売りや折り込みチラシを使わない独自の経営方針を貫き、年商約41億円、創業以来40年黒字を続ける優良経営ぶりが注目を集めている。本書では同社の代表自らが、同店のオリジナルな工夫や成功体験について語っている。
     福島屋は常にお客様の目線で考え、お客様に「安心安全で美味しい」と思ってもらえる食品を仕入れ、ときに加工して販売することを心がけている。「どうしたら売れるか」という発想はしない。それではどうしても安売りに走ってしまうからだ。仕入れの際にも「売れそうだから」ではなく「本当にお客様に喜んでいただけるか」という観点で判断する。そしてお客様が買い物をする時の心理を想像しながら陳列やPOPを工夫する。POPには売らんかなの宣伝文句ではなく、商品の魅力、お客様に役立つ情報を伝える言葉が並ぶ。

  • ■直接農家に出向き取引先を開拓。共存共栄をめざし生産者との信頼関係を築く

     福島屋では定期的に「グラフィック・ワークショップ」を開催し、スタッフ同士が話し合い試行錯誤することで売り場づくりの工夫を行っている。また、「お客様目線」を徹底するために、地元の主婦で構成する「ミセス・プロズ・スマイルズ(MPS)」というチームも持っている。MPSは市場調査、マーケティング、催事の提案、POP作成、プライベートブランド(PB)商品の企画・開発など幅広い業務を担当する。
     また福島屋は産地直送にこだわり、20年以上前から直接東北地方などの農家に足を運び、取引先を開拓した。何度も通い、直にコミュニケーションをとることで、生産者の心に触れ、「何を売るべきか」を肌でつかんできたのだ。金銭面もオープンにし、共存共栄を心がける。こうして築いてきた信頼関係はそのままお客様からの信頼につながり、さらには生産者とのPB商品の共同開発、地域おこしや町の活性化事業まで発展している。

  • ◎著者プロフィール

    食品スーパーマーケット「福島屋」代表。1951年東京都生まれ。大学卒業後家業のよろず屋を継ぎ、酒屋、コンビニを経て34歳のときに現在の業態へ。その後、東北の生産者から直接米を仕入れるなど農業との距離を縮め、コラボレーションによる福島屋オリジナル商品を多数開発。地方自治体などの要請によって、農業を中心とした地域おこしなどの事業にも携わる。株式会社ユナイト代表取締役社長、農業法人「NAFF」取締役を兼務。