『一生楽しく働ける50代からの起業』(吉原 直樹 著)

『一生楽しく働ける50代からの起業』 ‐スモールビジネスのすすめ

『一生楽しく働ける50代からの起業』(吉原 直樹 著) 

著 者:吉原 直樹
出版社:KADOKAWA(角川SSC新書)
発 行:2014/01
定 価:780円(税別)


【目次】
 1.恐怖の50代
 2.自分が主役の生き方
 3.50歳のビジネス感覚
 4.チャンスは無限にある
 5.起業までの準備
 6.素敵な日々の送り方
 7.ハッピー・エンディングを想像しよう

  • ■50代は起業に最良のタイミング

     もし50代になっても給料が下がっていく状態にあるのだとしたら、起業するなんて危ない橋を渡ることだと心配する必要はない。むしろ会社にしがみついているほうがリスクかもしれない。本書では、美容室チェーンのカリスマ経営者である著者が、50代で始める、“大げさではない”起業を提案している。
     本書で事例に挙げられている50歳前後で職場を辞めて事業を始めた人々からは、自分が主役の人生を生き生きと送る様子が伝わってくる。たとえば動物好きのある人は、53歳で大手化粧品会社を早期退職し、近所の飼い犬を散歩に連れて出る代行業を始め、やがて躾などの世話を含めて預かるペットシッターとして評判を得ていった。好きだった動物の世話を事業にすることで評判になったのである。
     50歳からの起業は、蓄えてきた資産などを犠牲にするほどのハイリスクの挑戦をする必要はない。ローリスク・ミドルリターンを目指せばよい。ローリスクならローリターンだろうと考えるのが普通だが、50代なら、これまでの知識や経験、実績、人脈などがリターンを中程度まで引き上げてくれるのだ。

  • ■自分の商売の「コア」がなにかを常に考える

     50歳前後で始める事業では、あえて大きなリスクを取る必要はない。いちばん着実と思える小さな仕事を積み重ねていくのである。大切なのは、自分の商売の「コア」がなにかを常に考え、絶対にそこを外さないという気持ちでやっていくこと。弁当屋を始めるとして、その街ではおにぎりが着実に売れるとわかっていたとする。そのとき、一風変わったスナックみたいなものに力を入れて流行らせようとするより、奇をてらわず、当たり前のことを「コア」にしたほうが着実に軌道に乗せやすい。ラーメン屋なら、突飛なメニューを看板にするのではなく、オーソドックスな味が最も広く受け入れられるのだ。
     起業や独立・開業を通じて人生を楽しむのはひとつのチャレンジであり、50歳前後は、そのような楽しい世界へ挑戦する最後のチャンスだといえるだろう。

  • ◎著者プロフィール

    (株)アルテサロンホールディングス取締役会長。美容師。1956年横浜市生まれ。埼玉大学教育学部卒業。1981年、美容室チェーンに入社し店舗運営等を手がける。1986年、30歳で美容室を開業。ロンドンのヴィダル・サッスーン・アカデミーで学ぶ。「Ash」ブランドを確立し、チェーン展開で業容を拡大。2004年に株式上場。現在、国内外に260を超える美容室を展開。日本経済団体連合会審議員。著書に『「世界で戦える日本」をつくる新発想』、『サロン経営の基本』など。