『クラウドストーミング』 (ショーン・エイブラハムソン/ピーター・ライダー/バスティアン・ウンターベルグ 著)

『クラウドストーミング』 ‐組織外の力をフルに活用したアイディアのつくり方

『クラウドストーミング』  (ショーン・エイブラハムソン/ピーター・ライダー/バスティアン・ウンターベルグ 著) 

著 者: ショーン・エイブラハムソン/ピーター・ライダー/バスティアン・ウンターベルグ
訳 者:須川 綾子
出版社:阪急コミュニケーションズ
発 行:2014/02
定 価:1,800円(税別)


【目次】
1.まずはコンテクストから
2.知的財産、機密保持、ブランド
3.適切な問いを投げかける
4.意欲を高める公正なインセンティブ
5.パートナーシップを構築する
6.最良の人材を採用する
7.優れた結果を得るためのコミュニティ管理
8.参加者の貢献度を測る
9.膨大な数のアイディアを手なずける
10.最適なオンライン空間を構築する
11.さらに先へ

  • ■ブレインストーミングの参加者を広くネット上の群衆に広げる

     参加者が自由に意見を出しあう「ブレインストーミング」は、組織の意思決定のための一般的な手法として知られるが、近年、その参加者をインターネット上の不特定多数の群衆(クラウド)にまで広げる手法も用いられるようになってきた。本書ではそれを「クラウドストーミング」と呼び、その理論的な分析や具体的な方法論の解説を行っている。
     玩具メーカーのレゴは、クラウドストーミングを取り入れたことで企業変革に成功した。2011年には「レゴ・クウソウ」というプラットフォームを導入。これはオンライン上に設けられた誰でもアイディアを提供できる“場”だ。ここに集まったアイディアのうち1万人以上の支持を集めたものは、レゴによって商品化の検討がなされる。
     クラウドストーミングのプロセスで得られるフィードバックは企業の貴重な財産だ。また、不特定多数の消費者とつながりを持つことで、顧客予備軍へのアピールもできる。

  • ■クラウドストーミングの3類型、「サーチ型」「協調型」「統合型」

     クラウドストーミングは三つの形態に分類することができる。
    (1)サーチ型:企業などの組織が、外部の専門家からアイディアを募集する。アイディア提供者相互の交流はほとんどない。
    (2)協調型:アイディア提供者だけでなく、アイディアの評価やフィードバックを行う人なども外部から参加する。これらの参加者は互いに交流する。
    (3)統合型:協調型が発展した形態。クラウドストーミングを前提とした組織体制をつくる。
     クラウドストーミングにおいて、集まった大量のアイディアの中から最良のものを選択するのはたやすいことではない。「性能」や「コスト」などの明確に数値化できる選択基準がない場合も多いからだ。「協調型」「統合型」ではその選択のために採点方式が用いられることがよくある。ここで気をつけなければならないのは、採点の信頼性を担保するために、「どのような人が参加しているか」を明示する必要があるということだ。

  • ◎著者プロフィール

    ショーン・エイブラハムソン:ムトポ社を創業し、ニューヨークを拠点に、群衆の知恵を活用してクライアント企業を成功に導くコンサルティング事業を推進。
    ピーター・ライダー:アクセンチュア等にてITコンサルタントを務めたのちベンチャー投資家に転身。後にイノベーションを支援するプラットフォーム企業、ヨヴォト社を創業。
    バスティアン・ウンターベルグ:ヨヴォトの共同創業者、CEOとして同社を指揮する。