『USERS(ユーザーズ)』 (アーロン・シャピロ 著)

『USERS(ユーザーズ)』 ‐顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略

『USERS(ユーザーズ)』  (アーロン・シャピロ 著) 

著 者:アーロン・シャピロ
訳 者:梶原 健司/伊藤 富雄
出版社:翔泳社
発 行:2013/09
定 価:1,800円(税別)


【目次】
1.ユーザー中心の経営
2.同心円型の組織体制
3.使い捨てテクノロジー
4.社会的使命に基づいた製品
5.ユーティリティ・マーケティング
6.TCPFセールス
7.ハイブリッド・カスタマーサービス

  • ■顧客や消費者ではなく「ユーザー」を最優先する企業が成功する

     現代の企業は、いずれの分野であってもデジタル・テクノロジーへの対応を怠っては生き残ることができないといえる。本書は、その前提でビジネスを考える際に、「カスタマー(顧客)」や「コンシューマー(消費者)」といった概念は時代遅れになりつつあり、相手にすべきは「ユーザー」であるとして、「ユーザーファースト」を基本とする戦略を多角的に論じている。
     本書でいう「ユーザー」とは、顧客、従業員、求職者、見込み客、パートナー、ブランドのファンなどを含む、デジタルなメディアやテクノロジーを通して企業と交流する人々のことだ。現代の多くの成功企業は、このユーザーの満足度を上げることを最優先に考えている。
     ユーザーの満足度の高い製品にはシンプルなものが多い。つまり、ユーザーの本質的なニーズを満たす機能に絞られているのだ。企業にとっては、その機能を磨き上げることに集中できるし、ユーザーにとっては余計な機能を学ぶ労力を省くことができる。

  • ■信用、利便性、価格、楽しさの「TCPF」を考慮した購買行動に対応すべき

     インターネットの普及により、ユーザーは製品・サービスのあらゆる情報を手に入れられるようになった。そうするとブランド名が購買を決定することが少なくなり、価格のみが差別化要因になるコモディティ化が起こりやすくなる。それを防ぐための手段の一つは、ユーザーの生活の質を改善するような本当の価値を提供することだ。著者はそれを「企業の社会的使命」と呼んでいる。
     ユーザーは購買を決める際に「TCPF」を考慮している。TCPFとは信用(Trust)、利便性(Convenience)、価格(Price)、楽しさ(Fun)のこと。企業はこれらすべてを満たすか、いずれかに特化するかを考えるべきだ。とりわけ「楽しさ」は重要な要素である。例えばネット上で友人と一緒に買い物をする疑似体験ができる「ソーシャルショッピング」を提供するWetSeal.comは、ネットショッピングに「楽しさ」を付加することで成功している。

  • ◎著者プロフィール

    グローバル企業の再創造を援助するデジタルマーケティング会社、HUGEのCEO。HUGEはグーグル、サムソン、グッチ、ペプシなど多数の大企業を手がけている。前職はテクノロジー起業家、ベンチャーキャピタリストおよび経営コンサルタント。コロンビア大学ビジネススクールMBA。ハーバード大学卒(経済学)。ニューヨーク在住。