『GIVE & TAKE』 (アダム・グラント 著)

『GIVE & TAKE』 ‐「与える人」こそ成功する時代

『GIVE & TAKE』 (アダム・グラント 著) 

著 者:アダム・グラント
監訳者:楠木 建
出版社:三笠書房
発 行:2014/01
定 価:1,800円(税別)


【目次】
1.あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
2.「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
3.チームの総力を活かせる人
4.荒野で“ダイヤモンド”を見つける法
5.「パワーレス」の時代がはじまった
6.「与える人」が気をつけなければならないこと
7.気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
8.人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
9.「成功への道」を切り拓く人たち

  • ■ギブ・アンド・テイクの選択が成功に影響を及ぼす

     私たちはビジネスで誰かと関わる時、相手からできるだけ多く価値あるものを受け取るべきか、それとも見返りを気にせず価値あるものを与えるべきかを、時に無意識のうちに選択しているものだが、実はこの選択こそが成功に決定的な影響を及ぼしている。本書は、「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッチャー(バランスをとる人)」というシンプルな分類を行い、「ギバーこそが成功する」ことを、豊富なビジネス事例とデータ分析に基づいて実証している。
     「テイカー」は常に、与えるより多くを受け取ろうとする。成功するには、人より上に行かなければならないと思っているからだ。一方で「ギバー」は、自分が払う犠牲はあまり気にせず、見返りを期待することなく相手を助ける。さらに、与えることと受け取ることのバランスをとろうとする「マッチャー」も存在する。マッチャーは常に“公平”という観点に基づいて行動するので、人を助ける時は見返りを求めることで自己防衛する。

  • ■成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出す「ギバー」

     カリフォルニア州のプロのエンジニアが、どのくらい協力的かという観点で互いを評価し合った際、一番評価の低いエンジニアはギバーとされる一人だった。ほかの人の仕事を手伝っているせいで自分の仕事を終えられず、仕上げた仕事、報告書、製図の数はもとより、ミス、締め切りの遵守、経費のムダ遣いの点でも最低点をつけられたのだ。ところが、もっとも生産性が高いとされたエンジニアもまた、ギバーだった。
     ギバーは「お人好しで、他人にいいように使われる人」と思われがちだが、実は成功者が多い。テイカーが勝つ場合には、その裏でたいていほかの誰かが負けるため妬まれやすいが、ギバーが勝っても非難の声は起きない。ギバーの成功は、周囲の人びとの成功も増幅させることが多いからだ。ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出す。そこがテイカーやマッチャーと異なる点である。

  • ◎著者プロフィール

    ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」に選ばれるなど、受賞歴多数。グーグル、IBM、ゴールドマンサックスなどの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行う。本書は24ヵ国語以上で翻訳され、大ベストセラーになっている。