『GS世代白書』 (GS世代研究会(座長:西村晃) 著)

『GS世代白書』 ‐日本経済をリードする60歳代市場の攻略術

『GS世代白書』  (GS世代研究会(座長:西村晃) 著) 

編 者:GS世代研究会(座長:西村晃)
出版社:メディアパル
発 行:2013/07
定 価:1,524円(税別)


【目次】
1.「GS世代」とは何か?
2.「GS世代」に対する各企業の分析と取り組み
3.「GS世代研究会」のトライアル
4.特別インタビュー

  • ■「楽しい時間」という商品にお金を使う「GS世代」

     日本人の持つ個人金融資産は1500兆円。その8割は50歳以上が所有し、60歳代は520兆円、70歳代以上は460兆円を持つ。子育てと宮仕えに区切りをつけていて、時間とお金の使い方を自分で決められる60代こそ「GS(ゴールデンシクスティーズ)世代」、「黄金の60代」と呼ぶべきではないか。本書は、イトーヨーカ堂、JAL、みずほ銀行といった大企業から、地方の中小企業、大学や自治体まで約300の企業・団体によって2011年に発足した「GS世代研究会」が編者となり、「GS世代」のマーケティング研究やトライアルを行ってきた成果をまとめ、今後のビジネスヒントとしている。
     「GS世代」がお金を使うのは「楽しい時間」という商品に対してであり、代表的なものが旅行である。しかし、旅慣れている「GS世代」には、「ツアー限定 秘仏公開!」といった付加価値を求めるツアーや、「スイスアルプスの貸別荘で1ヵ月過ごす」といったロングステイ商品など、企画力がないと興味を引きつけることは難しい。

  • ■「GS世代」向けの地域産品を全国区にし、地域活性化につなげる

     「GS世代研究会」では、全会員が参加する勉強会とシンポジウムで、自治体や企業がPRしたい商品を展示したり、販路の拡大に役立つ工夫をしている。
     2012年のシンポジウムでは、「大プレゼン大会」と銘打ち、20組の会員によるおすすめ商品の発表を行った。大企業から自治体、中小企業まで、それぞれが趣向を凝らした発表が続いた。こうしたことが、特に地方の産品販売に大きなきっかけを提供することになる。何しろ観客席に座るメンバーは百貨店、問屋、スーパーはじめ日本の名だたる企業の面々なのだ。ちなみにこの大会で優勝したのは、佐賀県有田町役場だった。「生前に自分で買う有田焼の骨壺をボトルキープして、生きているうちはワインクーラーや傘立てとして使い込んでください」。まさに「GS世代」向けの商品としての売り込みで、終了後は百貨店外商などとの商談が進んだ。
     「GS世代研究会」ではこうした活動を通じて「GS世代」の消費行動を分析し、それぞれの商品開発や販売に生かすことこそ、日本復活の切り札になると考えている。

  • ◎編者プロフィール

    「GS世代研究会」は、60歳代消費者を「GS世代」=ゴールデンシクスティーズ、「黄金の60代」と規定し、この世代にどんな商品やサービスを提供するかを考える集団として2011年春に設立された。同時に高齢社会の進展をにらみ、行政と連携してどんな新しいビジネスが可能か、地域活性化にどう寄与できるかもテーマとしている。「GS世代研究会」座長の西村晃は経済評論家で、『ルート16の法則』など著書多数。