『シリアル・イノベーター』 ‐「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀(アビー・グリフィン/レイモンド・L・プライス/ブルース・A・ボジャック 著)

『シリアル・イノベーター』 ‐「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀

『シリアル・イノベーター』 ‐「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀(アビー・グリフィン/レイモンド・L・プライス/ブルース・A・ボジャック 著) 

共著者: アビー・グリフィン/レイモンド・L・プライス/ブルース・A・ボジャック
監訳者:市川 文子/田村 大
訳 者:東方 雅美
出版社:プレジデント社
発 行:2014/04
定 価:2,000円(税別)


【目次】
1.成熟企業のブレークスルー・イノベーション
2.イノベーター主導型プロセスとは
3.顧客とのエンゲージメントを築く
4.信頼と尊敬で組織を動かす
5.シリアル・イノベーターの特性
6.シリアル・イノベーターはどこにいるか?
7.才能のマネジメント
8.読者へのラブレター

  • ■大企業の中で連続的にイノベーションを起こす技術者たち

     「シリアル・イノベーター」とは、大企業という組織に所属しながら、複数のイノベーションを連続的(シリアル)に生み出す人物のことだ。大企業では通常、イノベーションはサポートされるよりも、むしろ阻まれることが多いものだが、なぜ彼らは画期的なイノベーションを実現できるのか。本書は、イノベーション研究の専門家3人が、50名を超えるシリアル・イノベーターやその同僚、マネジャーなどを取材し、長年積み上げてきた学術研究を集大成したものである。
     前半では、従来の開発主導型、市場主導型とは異なる「イノベーター主導型」の開発プロセスとはどのようなものか、そしてシリアル・イノベーターたちに独特の顧客ニーズの把握の仕方、組織の動かし方など、彼らがプロジェクトを実現していくさまを明らかにする。後半では、シリアル・イノベーターの特性を明確にすることで、彼らをどのように見出して育成し、マネジメントすればよいかを分析している。

  • ■人的ネットワークや政治的能力をも総動員

     大企業におけるブレークスルー・プロジェクトの多くは技術主導型で、研究開発部門からスタートする。だが、結果的に実を結ばないことが多いのも事実だ。なぜならブレークスルー製品を生み出すには、多くの技術者にとっては“専門外”であるマーケティングの知識や政治的能力が必要となるからである。一方、シリアル・イノベーターは、自分のアイデアを画期的な製品やサービスに仕上げて市場に送りだすため、自ら顧客のところに出向いたり、人的ネットワークや政治力を総動員して、企業内の煩雑な手続きを突破していく。
     シリアル・イノベーターはどこにいるのだろうか。本書では、彼らに共通する五つの特性を挙げ、ある程度の経験を積んだ技術系社員の中にこうした特性を備えた人材が存在する可能性を指摘する。つまり、身近にすでに存在しているのだ。しかし、彼らを見出すには、マネジャー自身が、彼らを特定するためのスキルを伸ばさなければならない。

  • ◎共著者プロフィール

    アビー・グリフィン:ユタ大学マーケティング学部教授。同大学デビッド・エクルズ・スクール・オブ・ビジネス、Royal L.Garff記念講座教授。主な研究テーマは新製品開発プロセスの評価・策定。
    レイモンド・L・プライス:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校工学部教授。イリノイ大学工学部イノベーション教育センターiFoundry所長。主な研究テーマは組織の研究開発(R&D)部門におけるリーダーシップ・イノベーション。
    ブルース・A・ボジャック:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校工学部副学部長・非常勤教授。主な研究テーマはイノベーション・技術戦略マネジメント。