『定年楽園』(大江 英樹 著)

『定年楽園』

『定年楽園』(大江 英樹 著) 

著 者:大江 英樹
出版社:きんざい
発 行:2014/05
定 価:1,400円(税別)


【目次】
1.齢をとっても働く人が増える
2.老後の3つの不安
3.これだけ知っていればお金の不安は無くなる
4.60歳からの多様な働き方
5.起業は定年楽園への近道
6.自分の居場所をつくる…とは?
終.定年楽園への道

  • ■定年後に大きな仕事を成し遂げた伊藤若冲

     2012年に高年齢者雇用安定法が改正され、希望者は最長65歳まで雇用することが企業に義務付けられた。だが、雇用延長で65歳まで過ごした後の生きがいはどう考えていけばよいか。生きがいどころか、自分の居場所さえも失う高齢者が今以上に増加するかもしれない。
     本書は、定年後に一人で仕事を始めて充実した生活を送る著者が、普通のサラリーマンが退職後の仕事をどのように行えば、豊かで“楽しい”生活を送ることができるか、そのためのヒントを提示している。
     古来、日本の文化は、多くの隠居した人により生み出されてきた。例えば、近年その魅力が注目されている伊藤若冲は、もともと京都の錦市場で青果商を営んでいたが、40歳で家督を弟に譲り、そこから画家を目指した。その齢からあの偉大な作品群を描きあげたのである。当時の平均年齢からすると、40歳代というのは今の60歳代に相当するだろうから、まさに定年後に大きな仕事を成し遂げたと言えるだろう。

  • ■定年楽園と憂鬱な老後との分かれ目は「自立」の意識

     定年後を楽園にするために一番大切なこと、それは「60歳以降も働き続けること」である。そうすれば、“自分の居場所をつくる”こともできるし、心身共に健康を維持しやすくなる。収入を得ることができれば経済的な不安も縮小し、まさに一石三鳥だろう。
     そのためには、「自立」の意識をもつことである。サラリーマンは特にそうだ。日本社会は国民皆保険、皆年金、企業は原則終身雇用で退職金もあった。人生や生活のことを自分の頭で考えずとも、国や会社が全部面倒を見てくれた。世の中が変わるといっても、こうした仕組みが一度に劇的に変わることはない。ただし、一個人の人生に限って言えば、サラリーマンにとって定年というのは大きなパラダイムの変化であり、この時点で自分自身の思考と行動を変えていかねば困ることになる。定年楽園と憂鬱な老後との分かれ目は、この「自立」の意識にある。自分が完全に自立できたと思えた時が、定年楽園の入り口なのだ。

  • ◎著者プロフィール

    株式会社オフィス・リベルタス代表取締役。1952年大阪府生まれ。1974年に野村證券へ入社、2012年に定年退職後起業し、現在に至る。資産運用、企業年金、シニア層のセカンドライフプランニングなどをテーマとして各企業・団体にて講演や経済誌等への執筆活動を行なっている。日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)など。