『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!』-2代目女性社長の号泣戦記(石坂 典子 著)
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■ダイオキシン誤報騒動で失われた信頼回復のため「脱・産廃屋」を掲げる
1999年2月に、埼玉県所沢市の畑で収穫された野菜に高濃度のダイオキシンが含まれていると報道された。後に誤報と判明したその報道は、地元の産業廃棄物処理業者・石坂産業へのバッシングへと発展。本書は、その騒動がさめやらぬ2002年に父親の跡を継いだ石坂典子社長が、「脱・産廃屋」を掲げイメージ刷新に成功するまでを自ら語った改革の記録だ。
著者は、まず設備の改革から着手。清潔感のある廃棄物リサイクル工場をめざし、焼却炉を廃炉に。煙突をなくし、すべての設備が建屋の中に入った「全天候型独立総合プラント」を導入した。
苦労したのは「人」の改革だった。社員に3S(整理、整頓、清掃)を徹底することから始め、サボりの温床になっていた現場の休憩所の床に散乱していたマンガや雑誌、タバコをきれいに処分した。すると、50代の不良社員たちが反発。次々と辞めていき、半年間で4割も社員数が減ってしまった。 -
■工場周辺の里山を再生し5,000平米の環境教育の拠点として整備
それでも諦めなかった著者は毎日現場をまわり「巡回指導報告書」を作成、3Sが徹底されていない所を見つけては注意した。それを8年間地道に繰り返した。
すると、ようやく社員の意識に変化が見られた。3Sに気をつけることで、自分で考えて作業効率を上げる努力をするようになったのだ。そして改革を始めてから12年後の2014年には、日本そうじ協会主催の「掃除大賞」を受賞する。
著者は「脱・産廃屋」実現のために「地域の人に愛され、信頼される」必要があると考えた。そこで、工場周辺に広がる里山を再生し、環境教育の拠点として5,000平米の森林公園「花木園」を整備した。再生した里山ではホタルや絶滅危惧種のニホンミツバチが飛び交うようになった。そうした取り組みにより同社は2012年、日本生態系協会が生物多様性の保全や回復を評価する「JHEP認証」で、最高ランク(AAA)を取得することになる。 -
◎著者プロフィール
産業廃棄物処理会社・石坂産業株式会社代表取締役社長。1972年東京都生まれ。米国留学後、父の会社である石坂産業に入社。2002年、2代目社長に就任。2013年、首相官邸から招待を受ける。『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)などメディア出演多数。現在2児の母