『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』 -ルール、相手、土俵を変える(内田 和成 著)

『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』

『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』 -ルール、相手、土俵を変える(内田 和成 著) 

編著者:内田 和成
出版社:日本経済新聞出版社
発 行:2015/01
定 価:1,600円(税別)


編著者:内田 和成
出版社:日本経済新聞出版社
発 行:2015/01
定 価:1,600円(税別)

  • ■異業種競争のプレーヤーによる戦略を4類型に分けて分析

     先進国の成熟した市場では、業界の垣根を越えた「異業種競争」が多く展開されている。異業種に進出する企業はその業種の中で暗黙の了解となっていた競争ルールを破壊する「ゲーム・チェンジャー」となることが多い。本書では、それらの企業の戦略を類型化して分析するとともに、既存企業の防衛策についても論じている。
     編著者の研究グループは、類型化に4象限からなるマトリクスを用いる。横軸は新しい製品やサービスを提供しているか否か、縦軸は新しい儲けの仕組みをつくり出したかどうかである。類型は以下の通り。
    ・プロセス改革型(Arranger:既存の製品・サービス×既存の儲けの仕組み)
    ・秩序破壊型(Breaker:既存の製品・サービス×新しい儲けの仕組み)
    ・市場創造型(Creator:新しい製品・サービス×既存の儲けの仕組み)
    ・ビジネス創造型(Developer:新しい製品・サービス×新しい儲けの仕組み)

  • ■既存のものを異なる商法で提供する「秩序破壊型」が最大の脅威

     「秩序破壊型」は、従来とほぼ同じ製品やサービスを、異なる儲けの仕組みで提供。既存企業にとっては最大の脅威となる相手だ。典型が「スマホ・ゲーム」。スマホで楽しめるゲームは、従来のゲーム会社の商法を破壊した。
     その裏返しで、儲けの仕組みが従来と同じで、新しい製品やサービスを提供しているのが「市場創造型」。儲けの仕組みという業界のルールは一緒であるため、既存企業にとってはそれほど脅威ではない。「ビジネス創造型」も、別の土俵で勝負することになるため脅威にはなりにくい。
     製品・サービス、儲けの仕組みのどちらも新しくしなくても、ゲーム・チェンジャーになれる。それが「プロセス改革型」だ。自社の仕事の流れ、あるいはバリューチェーンを見直すことで、新しい価値を作りだしている。ヒットしたセブンイレブンの「セブンカフェ」はコーヒーを提供するプロセスを顧客に任せ、手軽さと低価格を実現したことが成功の要因だ。

  • ◎著者プロフィール

    早稲田大学ビジネススクール教授。東京大学工学部卒。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。 2000年6月から2004年12月までBCG日本代表を務める。2006年には「世界で最も有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出。2006年より現職。三井倉庫社外取締役、キユーピー社外監査役なども務める。