『あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか』 (伊藤 真/野田 稔 著)
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■「二毛作」で人生の幅を広げよう
少子高齢化が進む日本社会で役職定年などが始まる50代以上は4割以上を占めるが、「終身雇用」という仕組みにとらわれず、新たな発想で、新しい時代の働き方を考える時代を迎えている。
本書は、40代、50代のための転職・起業塾を主宰する著者たちが、人生90年時代のセカンドキャリアの見つけ方を指南している。
現代の50代、60代はまだまだ力を発揮できるのに、年齢を理由に活躍の場が奪われてしまうのは大きな損失である。持っている能力を活かせる場所を求めてセカンドキャリアをつくっていくほうが自分も社会も元気になっていく。しかし、定年になって、いままでと同じ業界で次の仕事を探すのでは、新しい変化や広がりは生まれない。そこで、同じ耕地で異なる作物を収穫する二毛作の発想をしてみよう。たとえば、商社で営業一筋だった人が、大学の就職相談員としてセカンドキャリアを過ごすといったほうが可能性は広がるし、新しい人生を楽しめるはずだ。 -
■秘められた伸びしろを確認する
いままでの仕事で得たスキルだけでなく、社会人として培ってきた力や強みも考えれば、隠れている能力の引き出しはたくさんある。
著者の野田氏も、54歳の頃、テレビ番組のメインキャスターに初挑戦した。それまでの塾の講師としての「話す」側から「話させる」側となって試行錯誤しているうちに、「この人にこんな質問をするとこう返ってくるだろうから、次はこっちに振ろう」というように先を見通す力が強くなっていった。さらに、いままでの講師としての仕事にもプラスの影響が出た。これも新しい分野に挑戦したからこそ、秘められた能力を伸ばすことができ、もともと持っていた能力まで膨らんだのである。
秘めた能力を持っているのに、過去にとらわれて封印してしまうよりも、それを表に出すことができれば、キャリアの可能性はさらに広がる。そのためには、まずは自分の棚卸しをして、忘れている力を確認することが大切だ。 -
◎著者プロフィール
伊藤真:社会人材学舎塾長。弁護士。法学館法律事務所所長。伊藤塾塾長。一人一票実現国民会議発起人。日本弁護士連合会憲法委員会副委員長。1981年東京大学法学部在学中に司法試験合格。法律資格・法科大学院・公務員試験の講座で教壇に立つ傍ら、全国で憲法に関わる講演を行っている。著書に『伊藤塾式 人生を変える勉強法』など多数。
野田稔:社会人材学舎塾長。明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授。リクルートワークス研究所特任研究顧問。1981年一橋大学商学部卒業、同年野村総合研究所入社。87年一橋大学大学院商学修士。野村総合研究所経営コンサルティング、多摩大学を経て、現職。NHK「Bizスポワイド」のメインキャスター等をつとめる。著書に『企業危機の法則』など。