『リーダーシップのなかった僕が チームで結果を出すためにした44のこと』(佐藤 達郎 著)
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■リーダーシップは天性の才能ではなく、学び、習得できるもの
現場で働いてきたビジネスパーソンが、突然チームの「リーダー」として結果を求められることがある。どうすればいいのか。広告会社のコピーライター出身で、その後チームのリーダーとして活躍してきた本書の著者は、リーダーシップは「天性の才能」ではないと言う。学び、習得することが可能な「考え方」「スキル」にすぎない。
そんな著者が部下を育成する際によく使っていたのが「共作」だ。なかなか“使える”レベルのコピーが書けなかった若手の部下に、著者は「ここ活かして、こう変えたらどうだろう」とアドバイス。そして、部下自身の手でその修正案を紙に書かせる。指導されて書いたものとはいえ、部下自身の手で書けば、それは「共作」となる。その積み重ねで、部下は教えられたことを自分のものにしていくことができる。この手法は、例えば自分で考えたアイデアを部下の手で企画書にまとめさせるなど、さまざまな場面で応用できるはずだ。 -
■「求められるときに嫌がらない」ことで部下から信頼される
仕事や私用が重なり忙しい時に、部下が飛び込みで相談を持ちかけてきた。そんなときにどうするべきか? 著者は、何より部下の相談を受けることを最優先すべき、と言う。飛び込みで声をかけてきた部下の相談は切羽詰まったものであるケースが多いからだ。調整して時間をつくり、部下の杞憂に過ぎなければ励ます。すぐに動く必要がある場合は、他の予定をキャンセルして解決に向かう。「適切な解決策を出す」よりも「求められているときに嫌がらずに相談にのってくれる」と思わせることで、信頼を勝ち得ることができるのだ。
リーダーには迅速な決断が求められることも多い。著者は、アイデアを検討するときに、とりあえず「仮置きの案」を決めて前に進める、ということをよく行う。早めに仮置きをしておけば、そこに具体的な検討を加えることで問題点が見つかったりする。それを修正する時間もとれる。ただ単に長く検討すれば正しい結論になるとは限らないのだ。 -
◎著者プロフィール
多摩美術大学教授、コミュニケーション・ラボ代表。一橋大学社会学部卒業後、アサツー・ディケイに入社。コピーライターからクリエイティブ・ディレクターに。その後、クリエイティブ計画局長、クリエイティブ戦略本部長として人事・組織・研修・ビジョン策定を担当。博報堂DY移籍後、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務める。カンヌ国際広告祭、The One Show、クリオ賞、ACC賞など受賞歴多数。