『なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?』(上野 金太郎 著)

『なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?』

『なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?』(上野 金太郎 著) 

著 者:上野 金太郎
出版社:サンマーク出版
発 行:2015/04
定 価:1,500円(税別)


【目次】
PROLOGUE 変わらずに、変わり続ける
1.売らずに売る -メルセデスな売り方
2.グローバルでドメスティック -メルセデスな流儀
3.ていねいでありながら最速 -メルセデスな仕事
4.人は大切、効率も大切 -メルセデスな組織
5.王道なのにポップ -メルセデスなひとひねり
6.数はやがて質になる -メルセデスな経営

  • ■旧来のイメージを覆す斬新なPR・マーケティング戦略が成功

     メルセデス・ベンツといえば、日本では代表的な高級車の一つであり、重厚で保守的な印象が強い。だが、インポーターの「メルセデス・ベンツ日本」は、そうした旧来のイメージにとらわれない革新的なPR・マーケティング戦略により、2年連続の新車販売台数最高記録、高級車国内販売No.1といった輝かしい実績を残している。本書では、同社トップ自らが、戦略が成功するまでの経緯、経営や営業などの流儀について詳述している。
     2007年秋、メルセデス・ベンツ日本は、地方のイオンモールで通りすがりの買い物客を対象に外部展示会を初めて開催する。それまでメルセデス・ベンツの展示会といえばホテルの宴会場などで招待客を対象とするものばかりだった。
     当時営業を統括する副社長だった著者は、“似合わなさ”をポジティブに捉えていた。結果として外部展示会は成功。著者は、自らドアを開けて外に出れば新しい市場との出会いがあることを実感した。

  • ■カフェ併設の「クルマを売らないショールーム」を開設

     イオンモールでの手応えを胸に著者が打ち出した次の戦略は「クルマを売らないショールーム」だった。高級輸入車のショールームは、普通の人には、入ることすらハードルが高い。セールススタッフに囲まれるのではないか、と警戒する人も多い。
     著者の意図は「情報発信基地」をつくること。最新モデルを間近に見て、触れて、試乗もできるが、客が自ら買おうと思わなければ、決して売り込まれることはない。カフェも併設した居心地のよい空間にする。顧客とのつながりを重視することから名称を「メルセデス・ベンツ コネクション」とした。
     それまでになかった発想だけに、ドイツ本社には反対論もあった。しかし2011年7月に無事オープン。予想に反し、もともとのオーナーはわずかで、客の大半は他社の車の所有者か、車を持っていない人だった。
     メルセデス・ベンツ コネクションは大成功。そして同様の施設が世界40カ所でも展開されることにもなったのである。

  • ◎著者プロフィール

    メルセデス・ベンツ日本株式会社代表取締役社長。1964年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、1987年創業間もないメルセデス・ベンツ日本に新卒採用1期生として入社。営業、広報、ドイツ本社勤務などを経験したのち、社長室室長、商用車部門取締役、副社長などを経て、2012年代表取締役社長兼CEO就任。歴代初の日本人社長となる。新しいマーケットにリーチする日本発の取り組みが世界中の注目を集めている。