『シンプルに考える』(森川 亮 著)

『シンプルに考える』

『シンプルに考える』(森川 亮 著) 

著 者:森川 亮
出版社:ダイヤモンド社
発 行:2015/05
定 価:1,500円(税別)


【目次】
1.ビジネスは「戦い」ではない
2.自分の「感性」で生きる
3.「成功」は捨て続ける
4.「偉い人」はいらない
5.余計なことは全部やめる
6.イノベーションは目指さない

  • ■「戦わない」「ビジョン・計画はいらない」など斬新な方針を打ち出す

     若年層から広がり、今や幅広い層に多数のユーザーを抱える代表的なコミュニケーションツールに発展した「LINE」。本書では、そのLINEの立ち上げから運営に携わった著者が、独特な「シンプルな考え」に基づく経営方針と哲学を語っている。
     著者は、ビジネスの本質を「ユーザーが真に求めるものを提供していくこと」と捉えている。そして、それができる能力と情熱をもつ社員“のみ”を集め、彼らの能力を最大限発揮できる環境をつくること“だけ”を行う。
     LINEのトップに就任したとき著者は「クオリティの高いプロダクトを、どこよりも先駆けて出す」という、たった一つのシンプルなルールを打ち出す。そして、「戦わない」「ビジョンはいらない」「計画はいらない」「情報共有はしない」「モチベーションは上げない」「差別化は行わない」「イノベーションはめざさない」といった、従来の経営の常道とはかけ離れた方針を確立していった。

  • ■イノベーションは自己満足。めざせばめざすほど遠ざかる

     著者はLINEで「イノベーションをめざしたわけではない」と言う。イノベーションはめざせばめざすほど遠ざかる。「今までなかったことをしたい」という考えだけで、ユーザーが求めてもいないことを推し進めても、それは自己満足にすぎないからだ。
     それよりも、ユーザーの「目の前」にあるニーズに、ときにそれを掘り下げて、確実に応えることを愚直にやっていく。LINEの開発がまさにそれだった。
     LINEのビジネスモデルは、「広告収入」を常識とするシリコンバレーの人々には斬新に映ったそうだ。LINEのトップに、ユーザーの「心地良いコミュニケーション」を阻害するバナー広告はない。
     ではどう収益を上げるのか。LINEの社員たちは知恵を絞り、今では収益の大きな柱となっている「スポンサード・スタンプ」の仕組みを思いつく。企業から対価をもらい、スタンプを提供するというものだ。これは、まさしくイノベーションだった。

  • ◎著者プロフィール

    C CHANNEL株式会社代表取締役社長。1967年神奈川県生まれ。1989年筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。青山学院大学大学院にてMBAを取得。2000年にソニー入社。2003年にハンゲーム・ジャパン株式会社(後にNHN Japan株式会社、現LINE株式会社)入社。2007年に同社の代表取締役社長に就任。2015年3月に代表取締役社長を退任、顧問に就任した。同年4月、動画メディアを運営するC CHANNEL株式会社を設立。